ある日、あなはた足の異変に気がつきました。
- 数日前から足が痒い
- よく見ると足に「水ぶくれ」や「かわむけ」が
- そういえば先日久しぶりに温泉とプールにいったなぁ…もしや?
あなたは水虫だと確信します。
そこで、
「最近、ネットでも薬が買えるようになったと聞いたぞ。水虫の薬をポチっとしよう」
と通販サイトを開きます。
「ちょっと待ってください! まずは皮膚科へ行ってください!」
皮膚科医のわたしとしては叫びたい気分です。(理由はこちら↓)

とはいえ、
- 忙しくて病院になんかかかっていられない
- この痒みを「すぐに」どうにかしたい
- 家族にうつしたくない
など、あなたにもやむを得ない事情があるでしょう。
そんなあなたが、ネット通販やドラッグストアで水虫薬を入手する際の、
「これだけは憶えておいてください」
というポイントをお伝えします。
ポイント1
効き目が確かな「テルビナフィン塩酸塩」か「ブテナフィン塩酸塩」がおすすめ
最近の市販の水虫薬には優れた有効成分が含まれています。
医療用で用いられるものと同じ成分の商品も多く出回っています。
そんななかで、高い評価がある「テルビナフィン塩酸塩」または「ブテナフィン塩酸塩」配合のものをお勧めします。
水虫薬には、
- 主成分の抗真菌剤(白癬菌【水虫菌】を抑える成分)
- かゆみを抑える成分
- 塗り心地を整える成分
- 薬が変質しないよう安定化させる成分
などが含まれていますが、治療のための基本となる主成分は
「抗真菌薬」です。
これについては各社オリジナリティを出す余地はないので、あまりメーカーにこだわる必要はないでしょう。
ちなみに医療機関で非常に多く使われており、皮膚科医の中で高く評価されているルリコン(ルリコナゾール)は医療機関でなければ入手できません。
ポイント2
ローションよりはクリームがおすすめ
水虫薬を使っていくなかで、
「べたつくのがイヤ」
という声をよく聞きます。
そうした場合はローションタイプのものを使うのが選択肢のひとつですが、3点問題があります。
- ジクジクした場所に使うと刺激感を生じ、ときにカブレる
- クリームに比べると薬の減りが早いことが多い
- クリームに比べると(私の実感では)やや効果が劣る?
以上を踏まえてローションタイプかクリームタイプかを選択されるといいでしょう。
ジクジクぎみの場合は、本当は軟膏タイプが刺激が少なくてよいのですが、市販薬で軟膏タイプはほとんど見かけません。
ポイント3
カブレなど副作用に注意しながら使用する
水虫薬は数パーセントの確率でカブレます。
カブレ(接触性皮膚炎)を起こすと、発赤、水ぶくれ、ただれが生じ、痒みを伴ってきます。
そこに細菌による2次感染が加わり、足が化膿して赤く腫れあがること(蜂窩織炎)もあります。
糖尿病など基礎疾患を持っている方は特に注意が必要です。
皮膚科では、そうした副作用や症状の悪化に気をつけながら治療を進めるのですが、自分で薬を購入して治療する場合も、異常を感じた場合は使用を中止し医師に相談するようにしてください。
治療するまえから、
- 患部の激しいジクジク
- 足の腫れ、むくみ
- 強い痛み、熱感
がある場合は自己治療を行わず、皮膚科を受診しましょう。
ポイント4
塗る範囲は原則「広く」
水虫薬の塗り方の原則は
- 症状がないところも含めて「両足」の裏全体
- 指のあいだ、指全体、爪
- 足の側面、アキレス腱の近く
です。
「足袋(たび)を履いたときに隠れるところすべて」
と理解するといいでしょう。
また、「両足」というのもポイントです。
左右の足は同じ生活環境で過ごしているので、仮に右足に水虫があった場合、無症状でも左足にも白癬菌が感染している可能性は大です。
完治を目指すなら「両足」が正解です。
治療期間は個人差がありますが、一般に症状が消失してから最低1カ月は続けるのが良いとされています。(論文によっては症状消失後4カ月程度を推奨するものもあります)
塗る範囲が狭かったり、表面的な症状が消えた段階で治療をやめると、近い将来再発する可能性が大です。
ポイント5
状況が許せば、皮膚科を受診
中途半端に自己治療を行ったうえで皮膚科に行くと、医者の方は対応に苦慮することが多いです。
それでも完治するまでの期間(症状が消失してから数カ月)、市販の薬を使い続けるのは高くつきますし、そもそも診断があやふやなのは不安かと思います。
どのような対応になるかは、症状や医師の考え方で異なると思いますが、時間の余裕ができたら皮膚科に行くことをお勧めします。
ポイント6
爪の水虫は、はじめから「皮膚科」へ
爪の水虫を市販薬で治すことは困難です。
一般的には「爪白癬専用の塗り薬」か「飲み薬」を使う必要があります。
正確な診断をつけるためにも自己治療を試すのではなく、早期に皮膚科を受診しましょう。
まとめ
- 自己治療ではクリームタイプの「テルビナフィン塩酸塩」、「ブテナフィン塩酸塩」配合の水虫薬を購入する
- 塗る範囲は「広く」
- 治療期間は症状消失後最低1カ月
- 異常を感じたら薬を中止する
- 時間が出来たら皮膚科へ
- 爪水虫ははじめから皮膚科へ
以上です。

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