帯状疱疹ワクチンのCM
最近テレビやネットなどのメディアで帯状疱疹ワクチンの啓発コマーシャルを見かけるようになりました。
診療中にも患者さんからワクチンのことをよく尋ねられます。
そこで、話題の帯状疱疹ワクチンについて皮膚科開業医の立場から解説します。
製薬メーカーのデータ、厚生労働省の資料、学術論文などをもとにした客観性のある情報に加え、
・どんな人にメリットがあり
・どんな人にはお勧めできないか
を現場の医師の肌感覚として「主観的意見」を交えてお伝えしたいと思います。
ここでは2つあるワクチンのうち、「シングリックス筋注用」にフォーカスして情報を提供していきます。
特に4万円越えとなる「費用」の問題をどう考えるか、独自の視点で解説します。
接種するかどうかの判断材料のひとつにして欲しいと考えています。
帯状疱疹ワクチンとは
帯状疱疹とは
帯状疱疹は体の左右どちらか一方に痛みをともなう発赤・水疱が生じるウイルス性の皮膚病です。
水痘(みずぼうそう)を引き起こす「水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)」が原因です。
水痘を引き起こしたあとVZVはヒトの神経節細胞内に潜伏しますが、加齢や疾病などで免疫力が低下すると再活性化し、帯状疱疹を発症させます。
帯状疱疹が生じると、激しい痛みに襲われ眠れなくなることがあります。
治癒後も神経痛などの後遺症で苦しむ人が大勢います。
日本人の3人に1人は生涯のなかで1度は帯状疱疹になるとされます。
神経痛などの後遺症に長期間悩まされることがありますので、決して軽視できない病気と言えます。
また「人生100年時代」と言われるなか、長いシニアライフを健康に生きるうえで、帯状疱疹を遠ざけることは大きな意義があります。
帯状疱疹についての詳細は下記の記事内でも解説しています。
https://tarumaesan.com/dermatology_consultation/
帯状疱疹ワクチン
欧米では2000年代から高力価水痘ワクチンが帯状疱疹の予防のために使われていました。
日本では2016年に乾燥弱毒生水痘ワクチンに効能が追加され、帯状疱疹の予防目的で使用できるようになりました。
乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」
弱毒化したウイルスを培養し精製したワクチン。
効能:水痘予防、50歳以上の人の帯状疱疹予防。
販売開始:1987年3月(水痘予防)
効能追加:2016年3月(帯状疱疹予防)
接種費用:1万円程度
課題:生ワクチンであるため免疫不全患者(癌、白血病、免疫抑制剤使用中)には使用できない
【免疫不全患者に使用できない理由】
弱毒化はしていますが「ウイルスそのもの」を接種しますので、免疫力の弱った方においては病原性を発揮してしまう可能性があるからです。
シングリックス筋注用
生ワクチンとは異なるサブユニットワクチンとして開発。
効能:帯状疱疹の予防
販売開始:2020年1月
接種費用:2回で4~5万円
対象:「50歳以上の者」、「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者」
生ワクチンではないため、医師の判断により免疫不全患者にも使用できます。
GSK(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)
帯状疱疹ワクチン『シングリックス筋注用』とは
ワクチンの構成
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の表面に存在する糖タンパク質を抗原として使用します。
「チャイニーズハムスター卵巣細胞由来」となっており、実際の生きた細胞内で増殖させたウイルスから抗原となる糖タンパク質を抽出、生成したものを使用します。
これに免疫賦活剤を包含したリポソーム(リン脂質の膜で包まれた微小なカプセル)を添加したものでワクチンは構成されています。
国際共同臨床試験により有効性と安全性が検証された
ZOSTER-006試験
50歳以上の男女 15,411例(日本人577例を含む)を対象
ZOSTER-022試験
70歳以上の男女 13,900例(日本人511例を含む)を対象
それぞれシングリックス又はプラセボ(偽薬)を約60日の間隔をあけて2回筋肉内注射し、帯状疱疹発症予防効果(有効性)及び安全性の評価が行われました。
(第Ⅲ相臨床試験)
海外における認可・助成制度
シングリックスは、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、スイスなどで認可され、接種が推奨されています。
また、アメリカ、カナダ、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスでは公費による助成制度があります。
シングリックスの効果
臨床試験におけるシングリックスの帯状疱疹の予防効果
ZOSTER-006試験
50歳以上を対象にしたZOSTER-006試験では有効性97.2%となっています。
約7,000名の2つのグループにワクチンとプラセボ(偽薬)を接種して3.1年経過を追ったところ、
プラセボ群 7,415名中、210名が帯状疱疹を発症
ワクチン群 7,344名中、6名が帯状疱疹を発症
という結果でした。
帯状疱疹の発症がゼロになったわけではありません。
しかし本来なら帯状疱疹になるはずだった100人のうち、97.2人を帯状疱疹から守ることが出来たということを示すデータです。
ZOSTER-022試験
一方、70歳以上を対象にしたZOSTER-022試験では有効性89.8%となっています。
約6,500名の2つのグループにワクチンとプラセボ(偽薬)を接種して3.9年経過を追ったところ、
プラセボ群 6,622名中、223名が帯状疱疹を発症
ワクチン群 6,541名中、23名が帯状疱疹を発症
という結果でした。
ワクチンがなければ帯状疱疹になるはずだった100人のうち、89.8人を帯状疱疹から守ったことが示されています。
効果の継続期間
時間経過によってシングリックスの効果は徐々に下がるものの、10年を経ても一定の効果が維持されているのが示されています。
ZOSTER-049試験
ZOSTER-006試験、ZOSTER-022試験のシングリックス投与群の被験者に対する長期追跡調査で、接種後10年を経過しても、73.2%の帯状疱疹予防効果があることが示されました。
ZOSTER-060試験
シングリックス接種後の参加者の免疫応答の長期変化を調査したものです。
gE抗原に特異的な免疫細胞の数値(細胞性免疫)、抗gE抗体(液性免疫)を120ヵ月(10年)まで調査したところ、細胞性免疫応答は約3.5倍、液性免疫応答は約6倍の値が確認されました。
効果についてのまとめ
不活化ワクチンであるシングリックスは、高い有効性を持っていると言えます。
接種して10年間ほど効果が期待できることが分かりました。
シングリックスの副反応
局所性副反応
ワクチン接種部位に局所性の副反応として、疼痛(78.0%)、発赤(38.1%)、腫脹(25.9%)が生じた。
持続日数の中央値は1~3日。
(ZOSTER-006/022併合解析 4,884例)
全身性副反応
全身性の副反応として、筋肉痛(40.0%)、疲労(38.9%)、頭痛(32.6%)、悪寒(23.5%)、発熱(17.9%)、胃腸症状(13.0%) が生じた。
持続日数の中央値は1~2日。
(ZOSTER-006/022併合解析 4,876例)
重篤な副反応
ZOSTER-006/022併合解析で報告された重篤な副反応
免疫性血小板減少性紫斑病、リンパ節炎、急性心筋梗塞、潰瘍性大腸炎、急性膵炎、投与部位紅斑、投与部位疼痛、悪寒、発熱、アレルギー性肉芽腫性血管炎、細菌性関節炎、丹毒、耳帯状疱疹、好中球減少性敗血症、筋骨格系胸痛、急性骨髄性白血病、ギラン・バレー症候群、神経系障害、湿疹がそれぞれ1例。
※死亡に至る重篤な副反応 好中球減少性敗血症(1例)
副反応についてのまとめ
副反応はやや重い
一般的な生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチンなど)と比べると局所性、全身性の副反応はやや重い印象です。
しかし持続日数の中央値が3日以内ということなので、多くの方にとって副反応は数日以内に軽減すると理解していいでしょう。
スケジュールを考える
シングリックスは2カ月の間隔をあけて2回接種することになりますので、仕事、ライフイベント、体調などを考慮してスケジュールを組んだ方がいいと思います。
シングリックス接種の流れ・注意事項
接種対象
50歳以上、または帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の人です。
接種できない人
- 明らかな発熱(通常37.5℃以上)を呈している者
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者
これらに該当する方は接種することができません。
接種方法
抗原製剤を専用溶解用液に溶解してシリンジ内に0.5ml充填します。
上腕の三角筋中央の皮膚面に垂直に筋肉内注射します。
接種後の注意事項
注意事項
- アナフィラキシーが起こることがあるので、接種後30分程度は施設内でゆっくり腰かけて症状の観察を受ける
- 接種当日は激しい運動を避け、接種部位を清潔に保つ
- 接種当日の入浴は差し支えない
- 接種後に接種部位の異常な反応や体調の変化を感じた場合、高熱、けいれんなどの異常な症状が現れた場合には、すぐに医師の診察を受ける
接種後、しばらく安静にして異常がないか確認しましょう。
2回目の接種
1回目から2ヵ月あけて2回目の接種を行います。
2ヵ月以上間隔があいてしまった場合でも6カ月後までに2回目を接種するようにしましょう。
シングリックスは2回接種することで十分な効果が期待できます。
費 用(健康保険は適用されません)
高額な費用(4~5万円)
シングリックスは健康保険の適応を受けることが出来ませんので、接種費用は自己負担となります。
費用は医療機関によって異なりますが、2回の接種で4~5万円程度となります。
いま病気になって苦しんでいるわけではない状況で4~5万円の費用がかかるのは、一般的な感覚としては高価だと思います。
副反応がやや重いことと並んで、費用の問題がシングリックスを接種するか判断するうえでのネックになっていると思います。
シングリックス接種 判断のネック
- 副反応がやや重い
- 接種費用が高額(4~5万円)
自治体によっては助成を受けられる
ワクチン接種によって50歳以降の帯状疱疹の発症、帯状疱疹後神経痛への進展のリスクを下げることができます。
これにより
- 痛みなどによるQOLの低下が防げる
- 帯状疱疹が発症した場合の医療費を節約できる
- 仕事などでの生産性の低下を避けられる
など、個人としても社会としてもメリットが大きいと考えられます。
こうした観点から自治体によっては、帯状疱疹ワクチンの接種費用の一部を助成する制度が設けられているところがあります。
不活化ワクチン(シングリックス)の接種に対し、1回あたり数千円から1万円程度の助成を行っている自治体が多いようです。
「帯状疱疹ワクチン 助成 〇〇市」
などで検索してお住いの自治体の状況を確認することをお勧めします。
【こちらでも検索可能です 帯状疱疹 | 病院検索 | HelC(ヘルシー)】
ワクチンをオススメする人?しない人?
ここからは一人の皮膚科医の個人的考えによる「シングリックスの接種をオススメする人」「オススメしない人」のお話をします。
わたしの考える判断基準は3点です。
判断基準
①医学的合理性があるか?(効果と副作用のバランス)
②医療経済的合理性があるか?(費用と効果のバランス)
③心理的に妥当か?(心情的に納得できるか)
①医学的に合理性があるか
効果
シングリックスが持つ帯状疱疹予防の効果は、先に示したデータで明らかです。
大変優れた効果があると言えます。
副作用
局所性、全身性の副反応のリスクがあります。生ワクチンよりやや重いと判断します。
両者のバランス
ワクチンを接種しなくても全員が帯状疱疹になる訳ではありません。
日本人の3分の1が一度は帯状疱疹になるということは、残りの方は帯状疱疹にならずに一生を過ごすわけです。
つらい後遺症が長期に続くのは帯状疱疹患者の一部です。
50歳以降の帯状疱疹の患者さんを大勢診察してきましたが、適切な治療を行えば数カ月以内に神経痛などの後遺症を残さず治癒する例が大半です。
地域性や年齢の偏りもあるかもしれませんが、50歳以降で帯状疱疹後に半年以上神経痛やその他の後遺症で「苦しんでいる」方は多く見積もっても10%程度かと思います。
アバウトな計算ですが、最大約3%(10%×1/3)の方が将来的に半年以上帯状疱疹の後遺症で苦しむのを防ぐために、高確率で起こる副反応に耐えてワクチンを接種することが合理的かどうかです。
わたしの主観ですが、50代から60代だと正直微妙なところだと思います。
70代以降になると帯状疱疹の重症化のリスクが高くなるとともに、後遺症が強くなる傾向があるので、十分合理的だと思います。
70代を見据えて、60代半ばくらいの方は接種を前向きに考えてよいと思います。
②医療経済的に合理性があるか
約10年間、帯状疱疹と後遺症のリスクを下げるために4~5万円の費用をかけるのは個人と社会にとって合理性があるでしょうか?
疫学や経済学の専門家ではない皮膚科医の直感的な判断ですが、「十分合理的」だと思います。
50歳代の「現役の社会人」、「家事や子供の教育に忙しい主婦」が急に帯状疱疹になった場合の経済的損失、周囲への影響はどれくらいでしょうか?
- 治療・通院に時間、労力、費用をかける必要がある
- その間、仕事のパフォーマンスは低下し業務が停滞する可能性がある
- 顔など露出部に発疹が生じた場合、感染対策上、業務上、影響が生じる
これらを考えると接種費用は見合うと思います。
ある意味「仕事を停滞させないための保険」ととらえることも出来ます。
50歳~65歳の「まだまだ現役時代」はストレスや疲労とも向き合わねばならず、帯状疱疹で来院される割合が多い世代です。
50代に入ったあたりで、副反応が生じても影響が少ないよう日程調整をしたうえでワクチン接種を行うのは合理的だと思います。
③心理的に妥当か(心情的に納得できるか)
上記の①、②だけではワクチン接種は決断できないと思います。
人は理屈で正しいと言われても、心から納得できなければ受け入れることはできません。
だれかを無理に説得してワクチン接種を受けさせたとしても、その人の幸福度は上がらないと思います。
まして、想像以上に副反応がつらかった場合、接種を後悔することでしょう。
心情的に納得してワクチン接種を受けるかどうかは、その方の性格や経験に左右されると思います。
新型コロナワクチンの副反応でつらい経験をした方は、おそらくこのワクチンを接種するのをためらうでしょう。
一方で身近な人が帯状疱疹で苦しむのを見た経験がある方は、積極的に検討するかもしれません。
ワクチンは目の前の病気を治すためではなく、あくまで予防のためのものですので、各人が十分納得して決断するのがよいと思います。
当然接種しないという決断も尊重されるべきですし、それも正しい判断だと思います。
シングリックスをオススメする方
①身近な人、または自分自身が帯状疱疹になり、つらい思いを経験した方
②5年~10年後の将来のこと、健康に関することを確率で考えることに抵抗がない方(どちらかと言えば理詰めの方)
③65歳以上の方
④病気や治療で免疫力が低下している可能性の高い方
⑤帯状疱疹の治療のために仕事や家事を離れると悪影響が大きい方
以上の方は、接種をお勧めします。
オススメしない方
①過去にワクチン接種の副反応でつらい経験をした方
②費用負担が重いと感じる方
③健康維持のためには食生活、運動、睡眠などに気をつけるのが基本と考えており、予防のための医療に抵抗を感じる方。
上記の方にはオススメしません。
個人の意見ですが、判断の参考になれば幸いです。
シングリックスについてのQ&A
Q.シングリックスの接種によって帯状疱疹は避けられますか?
100%確実というわけではありません。
しかし高い確率で帯状疱疹の発症を防ぐことが期待できます。
それにともない帯状疱疹後神経痛のリスクも下げられます。
Q.水ぼうそうにかかった記憶がないのですが、シングリックスは打てますか?
水ぼうそうにかかった記憶がなくても、気がつかないうちに水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に感染していて、すでに神経節細胞にウイルスが潜伏している可能性があります。
VZVの感染歴があるかどうかは、ウイルス抗体価(IgG)を調べることで確認することが可能です。
検査実施の可否、接種できるかどうかの判断は医師によって異なる可能性があります。
Q.一度帯状疱疹になったことがありますが、シングリックスを接種する必要はありますか?
帯状疱疹は一生のなかで複数回生じることがあります。
一度帯状疱疹になったことがあっても、加齢や疾病などで免疫力が低下すると再度帯状疱疹が発症する可能性があります。
ワクチン接種は再度の帯状疱疹の予防に有効です。
Q.シングリックスは1回だけの接種では効果はありませんか?
十分な効果は期待できないとされています。
1回目でつよい副反応が生じたなどやむを得ない事情がある場合を除き、2回目も接種することをお勧めします。
Q.「水ぼうそう」の予防にシングリックスを打つことはできますか?
現時点では帯状疱疹の予防のためだけに接種することが出来ます。
水ぼうそう(水痘)の予防には適応がありません。
Q.将来またワクチンを打つべきですか?
シングリックスは接種後10年程度有効性が保たれるとのデータが出ています。
それ以降については今後データが蓄積されて評価されるだろうと思います。
10年近く経過したら、①最新の情報にアクセスする、もしくは、②かかりつけの医師に相談するなどして、次の接種のための適切なタイミングを決めるとよいでしょう。
Q.持病はありませんが、50歳になる前にシングリックスを打つことはできますか?
接種対象は、①50歳以上、②または帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の人、となっています。
②に該当するのは具体的には、
- 疾病又は治療により免疫不全である者、免疫機能が低下した者又は免疫機能が低下する可能性がある者
- 上記以外で、医師が本剤の接種を必要と認めた者
ということなので、健康状態に問題のない方が「心配なので早めに打ちたい」と考えても適応にはなりません。
Q.シングリックスは口唇ヘルペスの予防になりますか?
口唇ヘルペス(再発性の単純疱疹)は単純ヘルペスウイルス(HSV)によって生じます。
VZVと近い種類のウイルスですが、シングリックスには予防効果はありません。
Q.帯状疱疹後の神経痛に苦しんでいます。いまからワクチンを打つ意味はありますか?
いま苦しんでおられる神経痛を改善させる効果は残念ながら期待できません。
効果が期待できるのは今後発症するかもしれない帯状疱疹とそれによる神経痛の予防です。
これらを防ぐためにのワクチン接種は意味がありますので検討してみてください。
Q.シングリックスは皮膚科で打ってもらうのがいいですか?
シングリックスの接種を行っている医療機関は、日ごろ帯状疱疹の治療にあたっている皮膚科医院が多いようです。
しかし、ワクチン接種は皮膚科にこだわる必要はありません。
ワクチンの接種、副反応の対応に慣れた内科などの医療機関で全く問題ありません。
かかりつけの医療機関でワクチン接種を行っているところがあれば、そちらで相談してもよいと思います。
シングリックスは人生100年時代のパスポート?
「3人に1人は帯状疱疹になる」と言われています。
今後ますます高齢化が進めば、この割合はもっと高くなるとわたしは想像します。
普段健康な方であっても、少なくない確率でいつか帯状疱疹が発症します。
そして運が悪いと、「帯状疱疹後神経痛」「顔面神経麻痺」「帯状疱疹のアト」に悩まされることになります。
これからは10年に1回パスポートを更新するような感覚で、帯状疱疹ワクチンを接種するのが当たり前の時代が来るのかもしれません。
個人的には将来医薬品の開発がさらに進んで、より安価で、より副反応が少ないワクチンが実用化される日が来るのを期待します。
それまではシングリックスが多くの人の健康を静かに守ってくれることでしょう。
そして、少しだけ皮膚科が暇になるかもしれません。
50代半ばのわたしも、そろそろ接種を考えてもよいかも、と思っている昨今です。
余談ですが、わたしの医院では帯状疱疹ワクチンを扱っていません。(近隣に取り扱い医療機関が複数あるため)
当院(たかはし皮膚科クリニック)にワクチン接種に関するお問い合わせをいただいてもご回答できませんのでご了承ください。