足のニオイ、そして小さな穴がいくつも!
足の裏にいくつもポツポツした発疹があるのを発見。
よく見ると小さな穴のようです。
大きさはせいぜい1~2ミリ程度。
そしてニオイも気になります。
足が蒸れやすい人に見かけるこの症状。
点状角質融解症(てんじょうかくしつゆうかいしょう:pitted keratolysis )と呼ばれる症状かもしれません。
この記事では、点状角質融解症の症状、診断法、治療法、その他の対処法をご紹介します。
まずは皮膚科に行くのが前提
自己診断、自己治療は間違いのもとなので皮膚科を受診していただくのが最善策です。
しかし、誤った情報に混乱することがないよう基礎的な知識を得ておくのは有益です。
予習として基本的ポイントを理解しましょう。
点状角質融解症とは
細菌感染による皮膚疾患です。
アクチノマイセス属(Actinomyces)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、マイクロコッカス属(Micrococcus)などの細菌が角質を融解させる酵素を作り出し、それにより足の裏に小さなくぼみが多発、融合して不規則な形になったりします。
また悪臭を伴うことがあり、多汗症(足の汗が多い状態)の方に多いとされます。
どのように診断するの?
基本的には視診(目で見ること)で判断します。
特徴的な皮膚症状、汗とニオイが多い状況などから判断します。
水虫との区別、水虫の合併の有無の確認のため、顕微鏡による真菌検査を行う場合があります。
ウイルス性の疣贅(イボ)とも似ているので、わたしはダーモスコピーという皮膚科用の拡大レンズで観察して区別するようにしています。
治療手段
原因となる細菌に有効な抗生物質を含んだ外用剤を使用します。
ゲンタマイシン、クリンダマイシンなどが有効なほか、イミダゾール系抗真菌薬(水虫の薬の一種)が有効な場合があるとされます。
局所性多汗症に治療に使う塩化アルミニウム水溶液が有効なことがあります。
高温多湿な環境が細菌の増殖につながるので、足が蒸れないよう環境を整えることが大切です。
予防法は
塗り薬で治療して改善しても、足が蒸れる環境が続くと症状が再発する方を診察したことがあります。
日頃から足を清潔にし、蒸れる(湿った)状態を避けるよう心がけましょう。
具体的には
- 毎日シャワー等で足を丁寧に洗い、しっかり拭いて乾かす
- 靴は定期的に洗い、よく乾かす。できれば2足以上用意してローテーションで使う。
- 靴の中敷きもよく乾かし、汚れてきたら交換する
などです。
よく似た病気は?
点状角質融解症に似た皮膚病は以下のものがあります。
- 足白癬(水虫 皮膚糸状菌による感染)
- ウイルス性疣贅(イボ ヒト乳頭腫ウイルスによる感染)
- 異汗性湿疹(発汗と関連があるとされる湿疹)
- 掌蹠膿疱症(水疱、膿疱が手足に多数出現する炎症性の皮膚病)
これらのとの区別は重要です。
また点状角質融解症と合併している場合もあるので、慎重に見極める必要があります。
疑問・質問
Q.うつる病気ですか?
細菌によって引き起こされるものですが、高温多湿のもとで生じるので環境によって発症すると理解すべきでしょう。
人から人にうつる可能性に言及した文献的資料は見出せませんでした。
Q.めずらしい病気ですか?
この疾患は皮膚科の教本に載っていない場合があります。
記述がある場合でも簡潔にしか書かれていません。
皮膚科医のあいだでもこの病気は重要視されていない印象ですが、実際は注意深く観察するとかなりの頻度で見かけます。(本人から訴えがなければ大抵スルーしています)
Q.市販の抗生物質入りの軟膏で治りますか?
細菌と抗生物質の相性によって、効く、効かないの違いが生じると思われます。
自己診断、自己治療にはリスクがありますので、その点ご留意ください。
Q.水虫の薬は効きますか?
イミダゾール系抗真菌薬(水虫薬)が有効である旨の記載がある教本があります。(上野健一著 皮膚科学第7版)
しかし、私見ですが第一選択は抗生物質入りの塗り薬だと考えます。
Q.塩化アルミニウム水溶液は皮膚科でもらえますか?
局所性多汗症の治療法として皮膚科で提供されています。
メーカー製の医薬品ではなく院内等で調合され提供されるのが通常です。
すべての皮膚科で処方される訳ではありません。
費用に関しても医療機関ごとに異なる可能性がありますので、診察の際に確認してみてください。
まとめ
足が蒸れることが多い方に生じやすい点状角質融解症について概略を説明しました。
命にかかわる病気ではありませんが、ポツポツした見た目が気になる、ニオイが気になるという方も多いはずです。
適切な診断と治療は皮膚科を活用していただきたいと思いますが、気になる症状がある方は、
- 足を清潔に保ち
- 足が蒸れないように配慮する
ことから始めたらよいのではないかと思います。
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