おうちスキンケア

自宅でヘルペスを治すには?【市販薬・適正使用のポイント】

皮膚科院長の高橋幸夫です。

診療中にもよく質問される、ヘルペスの市販薬(塗り薬)について解説します。

自宅でのヘルペス治療は『塗り薬』

口の周囲や陰部、お尻などに水ぶくれや発赤を生じる皮膚病。それがヘルペスです。

ヒリヒリ感、チクチク感、痛みを伴い、人にうつしてしまう恐れもあります。

年に数回、場合によっては毎月のように再発し、患者さんを悩ませます。

本来なら医療機関を受診するのが最善ですが、やむを得ない事情がある場合は、市販の塗り薬が頼りになります。

市販薬でヘルペスを治療する際のポイントをまとめます。

 

ポイント①
過去に医師の診断・治療を受けたことがあることが必要

ヘルペス治療薬は薬局で購入できますが、「過去に医師の診断・治療を受けたことがある」人に限定されます。
店頭、もしくはネットで購入するときに確認されます。

わたしも店頭で購入したことがありますが、診断書や証明書の提出は求められませんでした。

「過去に医師の診断・治療を受けたことがありますか?」

という問いに、口頭で

「はい」

と答えて、購入しました。

 

ポイント②
第1類医薬品なので購入できる薬局が限られる

OTC医薬品(医師の処方箋がなくても購入できる市販薬)のなかでも、ヘルペス治療薬は「第1類医薬品」に分類されています。

そのため、OTC医薬品を取り扱う薬局・薬店で、薬剤師さんから副作用などの注意事項の説明を受けてから購入することになります。

薬剤師さんが勤務していない薬局では購入できません。
また、薬剤師さんが勤務する薬局でも、店頭に薬剤師さんがいない時間帯には購入できないので注意が必要です。
確実に購入したい場合は問い合わせをしてから買いに行く方がいいかもしれません。

ネットで購入する場合もこの手順は必要です。
メールなどオンラインで薬剤師さんに確認してもらってから商品が発送になります。

 

ポイント③
「ビダラビン」または「アシクロビル」配合の薬を購入する

医療機関で処方されるヘルペス治療薬(塗り薬)は、「アラセナA軟膏(またはクリーム)」「ゾビラックス軟膏(またはクリーム)」といったところです。

実は市販薬にも同じ成分が含まれています。

アラセナAに含まれる「ビダラビン」、ゾビラックスに含まれる「アシクロビル」が配合された塗り薬が販売されており、効果の面では医師から処方されたものと遜色ありません。

 

ポイント④
用法容量、注意事項を守る

記事の下方に具体的な商品例のリンクを貼っておきます。

用法容量は

アラセナS(ビダラビン配合)1日1~4回、患部に適量を塗布

アクチビア軟膏(アシクロビル配合) 1日3~5回患部に適量を塗布

となっております。

個人的な見解ですが、どちらを選んでも問題ないと思います。

使用開始は、発疹が現れる前であっても、ピリピリ、チクチクなどの違和感をおぼえたら、すぐに塗布してよいとなっています。

これらは「再発性口唇ヘルペス治療薬」なので、必然的に唇とその周囲以外の部位、例えば「眼の周り」「陰部」「臀部」などには使用しないことになっています。

また、

初発(はじめて症状が現れた)場合

広範囲の場合

6歳未満

も使用できません。

ふだん医療機関でヘルペスとして診断を受け、治療していた患者さんが、たまたま受診できない場合の「代替手段」としての位置づけと考えていいでしょう。

それでも、受診できるようになるまで放置するより、医療機関で処方されるのと同じ成分の塗り薬を早めに使用するのは大変有効です。

それなりの頻度でヘルペスが生じるものの、必要時にすぐに医療機関を受診できない方は、事前にこうした薬を用意しておくことをお勧めします。

 

ポイント⑤
多少無理しても早めに医療機関に行くべき場合

下記に該当する場合は、多少無理をしてでも早めに医療機関を受診することをお勧めします。

眼の周囲や陰部のヘルペス

市販薬の適応外であることもありますが、眼のヘルペスの悪化は視力障害に至るおそれがあります。また陰部のヘルペスは痛みが強い場合も多く、性感染症としてパートナーにも広がる心配があります。

広範囲のヘルペス

カポジ水痘様発疹症と呼ばれる重症型のヘルペスの可能性があります。
当然抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)が必要ですし、状況によっては入院治療が検討されることもあります。

市販薬を使用したが改善しない場合

市販薬を使用したものの改善しない場合、

ヘルペスという判断が違っている

他の病気が合併している

という可能性があります。

この場合も専門の医師の診察を受けることをお勧めします。

 

まとめ

再発性の口唇ヘルペスの市販薬(塗り薬)は有効である

医師による診断を受けたことがない場合は購入できない(口頭で確認)

ビダラビン配合、もしくは、アシクロビル配合の商品を購入する

薬剤師さんいるOTC医薬品取り扱い薬局で購入する(ネット販売も同様)

改善しない場合、異常を感じた場合は出来るだけ早く医療機関を受診する

以上です。

 

商 品

 

【ビダラビン配合】

 

【アシクロビル配合】