皮膚科に行こう

中年男性に多い「日光湿疹」

「慢性光線性皮膚炎」と呼ばれる治りにくい「日光湿疹」があります。

中高年男性に多く、光に当たりやすい顔やうなじ、耳などに強いかゆみと赤みが生じます。

ご自身や身近な方が該当する場合は、いちど皮膚科で相談し、適切な治療と生活指導をうけることをお勧めします。

中高年になってから発症する「謎の?湿疹」

くわしいメカニズムは分かっていないのですが、中高年の男性の露光部(光が当たりやすい部分、顔、うなじ、耳など)に強いかゆみと赤みが生じ、慢性に続くことがあります。

以前であれば問題にならないような日焼けでも、強い湿疹症状を起こし、なかなか治らず苦しむ方をお見掛けします。

症状は慢性に続き、やがては非露光部(あまり光があたらない部位)にも症状が拡大し、患者さんにとって、かなり苦しい状況に追い込まれることがあります。

 

まずは診断

顔に生じる湿疹は、

  • 慢性光線性皮膚炎のほか、
  • 接触性皮膚炎
  • 脂漏性皮膚炎
  • 乾燥性皮膚炎

など、さまざまあります。

診断や症状の程度によって対応は異なります。

まずは正しい診断が重要です。

通常は症状の経過、発疹の分布状況などから慢性光線性皮膚炎の診断をつけます。

クリニックレベルでは難しい場合が多いのですが、実際に光線を照射する検査、皮膚の一部を採取して細胞レベルで調べる検査を行う場合もあります。

 

治療方針

一般的な治療法は

  • ステロイド外用剤
  • タクロリムス軟膏
  • かゆみ止めの飲み薬

などです。

ステロイド外用剤はさまざまな湿疹や皮膚の炎症に使われますが、慢性光線性皮膚炎にもよく用いられます。

症状の程度や部位に応じて、効果と安全性のバランスを考慮しながら薬の強さを選択する必要があります。

タクロリムス軟膏は、アトピー性皮膚炎の治療薬です。

免疫のバランスをととのえることで、多くの皮膚炎の症状を改善させます。

タクロリムスは慢性日光性皮膚炎に有効ですが、保険診療で認められているのはアトピー性皮膚炎のみとなっています。

かゆみ止めの飲み薬は、抗アレルギー剤または抗ヒスタミン剤と呼ばれ、服用することでかゆみを軽くする効果があります。

 

生活指導

治療以上に重要なのが「遮光」です。

  • 必要に応じて日焼け止めクリームを塗る、
  • 帽子や衣服に注意を払い紫外線があたらないようにする

紫外線を極力避けることがもっとも大切です。

まとめ

慢性光線性皮膚炎には抜本的治療法がなく、多くの患者さんが長期に症状に向き合うことになります。

それでも、悪化を放置して非露光部も含めた広い範囲に湿疹が拡大しないよう、適切な治療と生活指導を受けることをお勧めします。

ご自身または親しい人が慢性光線性皮膚炎では?と思われる状況でしたら、皮膚科の受診を検討いただければと思います。